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早稲田大学でのLC/MS技術指導:マススペクトル解析

数年前に、早稲田大学の天然物系の研究室で、学生たちのLC/MS技術指導を数年間に亘って依頼された事があり、指導の様子を前のホームページのブログに書いていました。その1つを少し編集して、新しいホームページに投稿します。確か、2017年頃の内容だと思います。因みに、ここで登場するD2のS君は、いまは浜松医科大学で一緒に働いています。

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先週、月1回の早稲田大学でのLC/MS技術指導に行ってきました。4月から研究室に配属された4年生、測定からデータ処理の流れはほぼ全員がこなせるようになりました。装置&メソッドの各種パラメーターについては、まだ理解できてない部分があるようです。しっかり理解させないと...

普段使っている装置は、SciexのTripleTOF4600というQ-TOFMSです。

 

今回は、マススペクトル解析演習ということで、分子量200以下の低分子化合物のMS/MSスペクトルの解析をやらせてみました。これは私が測定したデータで、勿論化合物情報は伏せて。

 

先ずはノーヒント、使うのは電卓だけ。電卓だけでは、プリカ―サーイオンやプロダクトイオンの組成推定もままならないので、この段階では先ず手が出ませんが、それでも4年生4人で相談しながら考えていました。プリカ―サーイオンとプロダクトイオン、あるいはプロダクトイオン同士のm/z差から、その差が小さければ脱離している官能基の種類は推測できるので。また、スペクトルのヘッダー部分に保持時間が表示されていたので、親水性の高い化合物であることは気づいていました。

 

1時間程考えさせた後、第一ヒントということで、組成推定のソフトを使ってプリカ―サーイオンとプロダクトイオンの組成推定を行わせました。この段階でも、低分子化合物とは言えなかなか構造を組み立てるのは難しいのですが、m/z 60.055イオンの推定組成CH6N3からグアニジル基の存在に気付いた学生がいて、そこからものの10分程で大凡の構造を組み立ててしまいました。そして、グアニジル基・親水性化合物・分子質量から“アミノ酸ではないか?”と気づいた学生がいて、正解のアルギニンを導き出しました。流石は早稲田大学の学生達、優秀です!

 

因みに、指導補助についてきていたD2のS君とM1のI君にも同じ演習をやらせましたが、S君は10分程度、I君も30分程度で正解していました。

 

正直、この研究室の学生達、質量分析のレベルは相当高いです。特にD2のS君については、そこらの質量分析計メーカーのアプリケーションケミストより遥かにレベルが高いと思います。

 

自分で指導していて何ですが、彼らのレベルの高さに驚かされた日でした。

 

 

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