LC/MSコンサルティングの実例:ゴーストピークについて
この話は、大分前にLC/MSのコンサルティングでお邪魔したクライアントさんのところでの実例です。
装置は四重極―飛行時間質量分析計で、新しく分析系を構築する際のコンサルティングの仕事でした。ところが、最初からMSのクロマトグラム(全イオン電流クロマトグラムや抽出イオンクロマトグラム)にゴーストピークが出現し、なかなか消えずに困りました。マススペクトルから、ゴーストの正体は界面活性剤と予測し、3日間試行錯誤してようやく消えました\(^o^)/
ゴーストピークとは、試料に含まれていない筈なのに現れるピークのことで、試料溶液への環境や容器からの汚染などが原因になる場合が多いです。装置が汚染されている場合もあります。少し前に書いたこの記事は、内容的にはかなり近いです。
ブランク溶媒を測定しても現れることから、ゴーストであることが確認できます。
オートインジェクターのニードルの汚れ、試料バイエルやキャップからの溶出、試料溶媒、移動相溶媒の汚染など疑いましたが何れも白!
HPLCの溶媒ラインのどこかが怪しいと思い、溶出力の高い溶媒を一晩流しっぱなしにしようと思ったら、何故か途中で止まったりして…(`_´メ)
現象から判断して、ラインでも特に水系溶媒側が怪しかったので、その検証をするためにブランク測定を繰り返し行ったら、ゴーストが消えてくれました\(^o^)/
これで条件検討が始められます❗
ゴーストピークの出現で困るのは、なんと言っても試料中の成分と重なること。解析が難しくなるし、場合によっては帰属ミスに繋がります。イオン化抑制の原因になる事もあります。
今回のケースでは、前に使っていた人がLC移動相のボトル口にパラフィルムを巻いていたので、それが主な原因だと思います。
移動相溶媒の揮発や大気からの汚染を防ぐために、ボトル口にパラフィルムを巻いているのをたまに見かけますが、パラフィルムからの溶出成分があるのでやめたほうが良いです。
LC/MSにおけるゴーストピークの問題、常に付きまといますね(>_<) 数あるLC/MSのトラブルの中で、最も苦労するかも。
LC/MSに関する技術指導、分析代行、インハウスセミナーなどのご依頼は、ホームページの問い合わせからお気軽にどうぞ。